平日のちょっと贅沢なライフスタイルマガジン Daily Premium Calendar

POMPON CAKES 立道嶺央 前編

鎌倉の街角に突如現れる移動式ケーキショップ「POMPON CAKES」の店主・立道嶺央さん。「大好きな鎌倉の街とかかわりたい」と2年半前に始めたお店は、立道さんのカーゴバイクがスポットに到着するやいなや、常連客が列をつくる人気店だ。

「週に3~5日、鎌倉駅前を中心にツイッターやフェイスブックで事前に告知したスポットに出店しています。

ケーキの種類は、ニューヨークチーズケーキ(300円)、キャロットケーキ(320円)、サヴァラン(430円)などの定番に加えて、その時手に入った旬のフルーツを使ったケーキを出すことも。常時10~15種類は準備していくのですが、毎回3時間ほどで売り切れてしまいますね。

ケーキの材料は、無添加、国産、オーガニックが基本。
老若男女にパクパク食べてもらえる“オーガニックでジャンキー”なアメリカンケーキを目指しています。

オーガニックへのこだわりは、料理研究家でケーキづくりの先生でもある母親の影響。2年半前にこの店を出そうと決めた時にお願いして、今も手伝ってもらっているんですよ。

子どもの頃は、母親が作ってくれるオーガニックのお弁当が赤いソーセージの入った友達のものに比べて地味で嫌だと思った時期もありました(笑)。だけど、大人になるにつれてその良さがしみじみわかるようになったんです」

POMPON CAKES 立道嶺央 前編

ケーキを作る日は朝6時頃から作業開始。「すっかりケーキ職人のような毎日です」と語る立道さんだが、実は建築デザイナーとしての一面も持つ。

「大学の建築学科を卒業してから3年間は、京都を中心に宮大工の屋根職人として働いていました。全国を転々としながら、重要文化財クラスの寺社仏閣の屋根を修復していくのが仕事です。

宮大工の仕事には先人の知恵が詰まっていて本当に勉強になるんですけど、当時の生活も先人の暮らしをそのまましているような感じで、暑いし寒いとにかく大変(笑)。

10年で1人前と言われる世界で3年弱修行させてもらってから、鎌倉に帰ろうと決めたんです」

故郷の鎌倉に戻って今後を思案した時、頭に浮かんできたのは“コミュニティデザイン”という言葉。大好きな鎌倉の街をもっと楽しくするにはどうしたらいいか、それを考えてみたくなったのだという。

「実はどうしても“ケーキ屋さん”がやりたかったというわけではありません。
街とかかわることができる“媒体”とは何かを考えた時、身近な母親が作る上質なオーガニックケーキがいいのではないかと思いついたんです。

それが移動式の“POMPON CAKES”を立ち上げるきっかけでした」

ケーキは同じ鎌倉にある工房で丁寧に手作り。ここにいる間はすっかり職人の顔

ケーキは同じ鎌倉にある工房で丁寧に手作り。ここにいる間はすっかり職人の顔

たくさん並べられたサヴァランたちにシロップをたっぷり塗って。モコモコしていてなんだか可愛い

たくさん並べられたサヴァランたちにシロップをたっぷり塗って。モコモコしていてなんだか可愛い

日が落ちて柔らかな明かりが灯されると同時に、会社帰りの客が列を作り始めた

日が落ちて柔らかな明かりが灯されると同時に、会社帰りの客が列を作り始めた

プロフィール

立道嶺央(たてみち れお)

鎌倉の路上でオーガニック素材にこだわった手作りケーキを販売する「POMPON CAKES」代表。建築デザイナーとしての顔ももち、3年間宮大工として修行した経験あり。店が出せない夏には、ケーキにふさわしいフルーツなどを求めて旅に出る。

photo_nobuyuki sasaki
text_miwako matsuzaki
edit_yu koyanagi