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"花火ショー"の猛者、現代のお江戸に現る 煙火店 丸玉屋 代表取締役 小勝敏克

花火の製作から、花火ショーの演出・プロデュースを行っている丸玉屋。手がける作品は、大型テーマパークやアーティストのコンサート、伝統的な花火大会に至るまで多種多様。日本にいち早く「花火ショー」という概念を持ち込み、長年業界の第一線で活躍し続ける代表の小勝敏克さんに花火ショーの舞台裏を聞いた。

小勝さんは元々叔父と父親とが経営していた丸玉屋小勝煙火店の営業担当出身。アメリカやヨーロッパを中心に、日本の花火を輸出する仕事に携わる一方、テーマパークなどで演出として使う花火の効果を研究していた。今から30年くらい前の当時は、伝統的な花火大会が主流で、音楽や照明、ストーリー性を取り入れたエンターテインメントショーという考え方は、日本にはまだなかったそうだ。

「営業職をしていた頃から、伝統の花火だけではなく、もっと人々を感動させられる花火ショーの形はないものかと、ずっと模索していました。そんななか、1985年にカナダのモントリオールで開かれた国際花火コンクールに参加し、伝統花火の部で優勝。その時のデモンストレーションで、フランスが手がけた音楽と一体になった花火ショーを初めて見たんですね。ものすごいカルチャーショックでした。その時、これだと思ったんです。

また国内最大のテーマパークで花火と音楽の重要性を学び、1993年、音楽にあわせて花火を打ち上げるアメリカの花火プログラムシステムを導入。当時は日本語の取扱説明書ももちろんありませんでしたから、現地のエンジニアなどを講師に迎えて独自に研究と開発を進めるなど苦労の連続でした。それでも、いち早く日本で新たな花火のエンターテインメントとしての可能性を形にしようと必死でしたよ」(小勝さん)

花火は日本ならではの文化ではない!?

花火ショーの舞台裏を紹介する前に、小勝さんから聞いた世界の花火事情について少し説明しておこう。日本の花火大会といえば、浴衣を着て夕涼みに出かける“夏の風物詩”というイメージが強い。花火は日本らしい情緒をかき立てるものでもあるが、実はヨーロッパでも非常に人気が高く、その文化や伝統的な技術は時を経て受け継がれているそうだ。

「ヨーロッパでは花火を楽しむ歴史は古く、特にスペインやイタリアではとてもさかんです。14世紀頃から貴族が個人邸で楽しんでいたという記録もあります。当時は照明の一部のような感覚で、ベンガルトーチと呼ばれる花火で宮殿や外壁をライトアップしたり、低高度の花火(花束、コメット)と回転花火、仕掛花火等を組み合わせ、その前でダンサーが踊るのを楽しんだりしたと言われているんですよ。

日本では夏の納涼で花火をすることが多いですが、ヨーロッパではお祭りや独立祭などの特別な日にお祝いとして上げることがほとんど。花火はその見た目の美しさはさることながら、やはり『ドン』という迫力満点の音とは切っても切り離せませんよね。そんな花火に魅了される心は万国共通だなと感じます。

その一方で、作り方にはお国柄が出るものです。日本の花火には、手先の器用な日本人ならではの繊細な技術が生かされており、原材料にも和紙、籾殻、糊など日本の風土が生んだ素材が使われています。真円に大きく開き、一瞬にして消え去る潔さ。何重にも芯が重なる多様な色の変化など、日本の花火は世界でも類を見ない芸術性を誇ります」(小勝さん)

世界中で愛されている花火。後編では、いよいよその打ち上げの舞台裏に迫ります。

新しいプログラムやソフトウェアを導入して、より感動を呼び起こす作品づくりに日々奮闘中

新しいプログラムやソフトウェアを導入して、より感動を呼び起こす作品づくりに日々奮闘中

花火について語る姿はなんだか嬉しそう。花火への愛情が伝わってくる

花火について語る姿はなんだか嬉しそう。花火への愛情が伝わってくる

現場に設置された打ち上げ用台座。筒の中には花火玉がセットされている

現場に設置された打ち上げ用台座。筒の中には花火玉がセットされている

プロフィール

株式会社丸玉屋

オフィシャルサイト:http://www.marutamaya.jp/

photo_yoshinobu bito
text_ miwako matsuzaki
edit_yu koyanagi