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「おいしいものを食べさせてあげたい」キッチンが大好き Eva's Kitchen主宰 小田美保子 前編

「キッチン」という場所は、食事を作るために日々立ち続ける日常の場所。日常だからこそ、ときどきちょっとめんどくさい日もあったり......。今回インタビューした方は「キッチンに立つことが大好き!」というある女性。話を聞くと、改めてキッチンという存在の大切さに気付かされた。

チーズプロフェッショナル、ワインエキスパート、シニア野菜ソムリエ、調味料マイスターなど多数の資格を持つセミナー講師で、15年続く料理教室を主宰する小田美保子さん。彼女の教室「Eva's Kitchen」には初回からずっと通い続けている生徒さんや、わざわざ遠方から通う生徒さんもいるほど熱い支持を得ている。

インタビューを始める際に小田さんに肩書きを聞いてみると、「私はただの主婦です」と笑った。

「昔から食べることとお料理が大好きなんです。我が家へお友達や主人のお客さまを招いて手料理を振舞っていたら、それがおいしいって評判をいただいて。皆さんが教えてほしいと言ってくださったので自宅のキッチンで教室を開くことにしました。月に1回、ワイワイ集まれるのが楽しくってこんなに長く続きました。今では6クラスの生徒さんがいます。

教室の特徴ですか……? 前菜、サラダ、メイン、デザート、それとチーズとワインを揃えたコースメニューを教えています。1時間くらいで作ってその後ゆっくりお話しながら食べています。お料理は独学ですし、本当に特別なことは教えていないんです。

ただ、私はこれまで自分が行きたいと思う教室がなかったの。有名なシェフのお料理教室ではステキなレシピを教えてもらえたけど、何もないテーブルで何でもない食器に盛り付けて、ちょっと味気ない。『私のコンセプトはちょっと違うかな』って。

私のお料理は、なじみやすい食材で、だけど旬のものを。うまい下手は関係ない簡単なレシピだけど、盛り付けはキレイに丁寧に。一番大切なのは愛情かな。食べる人のことを思い描いたら、『あったかく、おいしく出してあげよう』と思っていろいろ工夫するでしょ。そういう普通のことなんだけど、大切なことを教えているつもりです」(小田さん)

「ママ、今日のごはんは何?」「おいしいものよ」

キッチンに立つ際に悩むのが「献立」ではないだろうか。毎日毎日、献立を考えるのは意外と骨が折れるものだ。

しかし、「Eva’s Kitchen」では15年間一度も同じレシピが登場したことはないという。小田さんは「だって、15年通ってくれている生徒さんがいるから同じレシピはつまんないじゃない」とあっけらかんと言う。いったいどうやって献立を考えているのか教えてもらった。

「私、結婚した当時は本当にレシピのレパートリーが少なくて。でも、自分がこんなの食べたいなと思ったもの、レストランで食べたおいしいものを家ですぐ作るのでだんだん増えていきました。

主人の仕事の関係で海外にもよく行くので、訪れた地元の料理は必ず食べます。いろんな発見があってとっても楽しいの。インドでは毎日カレーを食べるのに飽きないなとか、ポルトガルでいわし料理を食べたら『こんなにおいしいんだ』と感動して、日本に帰ってもいわしの塩焼きを作るようになったとか。

それから、テレビで見た『あんかけ大根メシ』がすごくおいしそうだったから自己流で再現してみたら、ほーんとにおいしくて! これは皆に教えてあげなくちゃと思って教室のレシピにも採用しました。誰かにおいしいものを食べさせてあげたいと思う気持ちが、献立を考えるときの原動力にもなりますね。

献立が決まらない日でも、子どもたちが学校から帰って来ると『ママ、今日は何?』って聞いてくるでしょ。そういうときは『おいしいものよ』って答えればいいの。そうすると子どももワクワクしてくれる。そうやって作った料理を皆で一緒に食べれば本当においしい。お母さんが料理を楽しんでいる様子を伝えることも大切だと思っています」(小田さん)

小田さんの料理の魅力は何なのか、探っていくうちに見えてきたのは愛情の大切さ。小田さんの家には、たくさんの家族写真や客人を招いたホームパーティーの写真が飾られている。家全体が愛情たっぷりなのだ。お料理だけでなく、この暖かい雰囲気を学びたくて教室に通っている生徒さんも多いだろう。

「家族は教室のこともよくサポートしてくれて、主人や2人の息子もレシピの味見をしてくれます。長男が『まあまあ』って言ったらかなりいいってことなの。アドバイスがあるときも彼は絶対に『まずい』とは言わない。『こうしたらおいしいと思う』という風に言ってくれる。誰かが一生懸命作った料理だと分かれば、簡単にまずいなんて言えないと思うんです。我ながらいい息子に育ってくれたかな(笑)。

うれしかったのが、生徒さんに『教室に通ってから主婦の見方が変わった』と言われたこと。今の時代は共働きが普通になって、専業主婦はちょっと怠けているのかもと自信をなくす人もいると思うの。でも、私は子どもが学生のうちは家で待っていてあげたり、家族のために食事を作ることは大切だと思って主婦でいました。私が普通だと思っていたことが、生徒さんを通してとても大切なことだと再認識できたんです。

キッチンに立って大切な人のことを考えるのって本当に楽しい。だからキッチンに立つのが大好きなんです」(小田さん)

小田さんの笑顔はチャーミング。料理にことになるとより一層笑顔が輝く

小田さんの笑顔はチャーミング。料理にことになるとより一層笑顔が輝く

『Eva's Kitchen』より、ポルトガルの伝統的なキャベツ皿に盛り付けられたチキンサテー

『Eva's Kitchen』より、ポルトガルの伝統的なキャベツ皿に盛り付けられたチキンサテー

自宅に50人近く招くことも。その際も料理からデザートまでしっかり作るそう

自宅に50人近く招くことも。その際も料理からデザートまでしっかり作るそう

プロフィール

小田美保子 おだみほこ

1953年、東京都出身。料理教室「Eva's Kitchen」主宰。レシピ本『Eva's Kitchen キッチンに立つことが大好き!』(2013年、Eva出版刊)では季節を感じられる料理を紹介。その他、チーズ、ワイン、野菜、調味料に関する資格を多数保有、セミナー講師も務める。
レシピ本のご購入は小田美保子mihokooda@aol.comまでご連絡をいただいても構いません。
ウェブサイト:http://www.evas-kitchen.com/index.html

撮影協力

工房花屋http://www.koubou-hanaya.com/index.html

住所:東京都世田谷区上用賀5-8-11

TEL:03-3708-7350

営業時間:9:00~19:00 年中無休

アンティークを取り入れた店舗は、生花の販売だけでなく喫茶スペースもあり。パーティーやブライダルでの利用も相談可能。

photo_momo yago
text_ yui tanaka (press labo)