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"衝撃的なおいしさ"に感動し日本茶の本当の魅力を伝えたくなった 日本茶ソムリエ 和多田 喜 前編

日本人にとって「お茶」はとても身近なものだが、詳しいかというと、それはまた別の話。

表参道で「日本茶カフェ」を経営する"日本茶ソムリエ"の和多田 喜さんも、かつては「日本茶はなんだか難しい」と思っていたひとり。なぜ日本茶に魅せられたのか、その理由をおうかがいした。

「私はもともと中国茶や紅茶が好きでよく飲んでいました。ティーパックで失敗なくいれられるからという理由もあります。日本茶を自分でいれてみても、どうしてもおいしくなくて諦めていたんです。

でもやっぱり、日本に生まれたからには日本茶について知りたいという思いと、じゃあどんなものがおいしい日本茶なのか飲んでみたいという興味がありました。そこであるとき、日本茶専門店に行ってその場でいただいたら、衝撃的においしかったんです。それと同時に、自分と同じように日本茶の本当のおいしさを知らない人も多いんだろうなと思いました。

それから日本茶を学び、日本茶インストラクターの資格を取って、日本茶のおいしさを知ってほしいと思い日本茶カフェをオープンさせました。

私が独自に編み出した和多田流でいれるお茶は、いかにお茶の香りを引き出すかに重点を置いています。お茶が持つ甘み、うまみ、渋みと、その上に乗っている香りを上手に引き出しているので、日本茶本来の魅力をより感じていただけると思います」(和多田さん)

“飲む”というより“喫する”和多田流の「すすり茶」

さっそく、和多田流のお茶をいただくことに。

静岡県で作られた「秋津島」という煎茶の茶葉をたっぷり8g、平たいお皿に入れる。これは和多田流でお茶をいれるために作った「葉のしずく」という茶器だ。茶葉の表面には、一番甘くてうまみの多い層ができるそうで、水をいれてゆっくりうまみを抽出する。

沸かしたお湯はどうするのかと思って見ていると、茶葉にそそぐのではなく、小さな湯のみに入れた。お湯であたためた湯飲みに、茶のしずくでいれたお茶をいれると、ほんのりあたたかい「すすり茶」が完成した。

ごく少量のそのお茶は、お茶のうまみが濃く、飲んだ後もずっとお茶の甘い香りが口に残る。

「“飲む”というよりも“喫する”飲み方です。二煎目ではお湯でいれて、茶葉の中に含まれた味わいを楽しんでもらいます。

これは、高級品である煎茶のうまみを味わうための飲み方で、茶葉のエキスを楽しむもの。抹茶は葉を粉末にして、葉の味を丸ごとを味わうもの。『日常茶飯事』という言葉の由来になったのは文字の通り茶色い番茶で、これは普段使いのお茶として飲まれてきました。どれもが日本茶で、これが正しい正しくない、というものではありません。

朝、昼、晩や、合わせる食べ物やお茶菓子によっても飲みたいお茶は変わるものです。その中で、ちょっと贅沢な気分を味わいたいなという場合は、煎茶をゆっくりいれるとよいでしょう。

ただ、このおいしさを知っているか知らないかでも、日本茶の楽しみ方が変わってきます。自分に合ったお茶を見つけるためにも、本当のおいしいお茶を飲んでいただきたいと思います」(和多田さん)

和多田流オリジナルの茶器「葉のしずく」でいれられたお茶。よい茶葉は水を吸収するとほとんど元の葉の形に戻るという

和多田流オリジナルの茶器「葉のしずく」でいれられたお茶。よい茶葉は水を吸収するとほとんど元の葉の形に戻るという

こちらの急須も和多田流オリジナル。浅いので茶葉の荒熱がすぐ取れて、何煎もお茶が楽しめる

こちらの急須も和多田流オリジナル。浅いので茶葉の荒熱がすぐ取れて、何煎もお茶が楽しめる

「小さいころ、実家に日本茶をいれるのが上手なおばあちゃんがいて、おいしいお茶は人にいれてもらうものだと思っていました」と笑う和多田さん

「小さいころ、実家に日本茶をいれるのが上手なおばあちゃんがいて、おいしいお茶は人にいれてもらうものだと思っていました」と笑う和多田さん

プロフィール

和多田 喜 わただ よし

2005年、日本茶インストラクター協会認定「日本茶インストラクター」の資格を取得。新しいスタイルの日本茶カフェ「表参道 茶茶の間」をオープンし、日本茶ソムリエとして運営にあたる。蓋のない茶器を使って茶葉を究極に味わう、和多田流「すすり茶」の淹れ方を考案。日本茶の奥深い魅力を伝えるため、執筆活動や、各種セミナーなどで講師としても活躍中。
http://www.chachanoma.com/

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