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「ほっと表情がほぐれて優しい顔になる」 日本茶に感じる"安堵感"の理由 日本茶ソムリエ 和多田 喜 後編

日本茶ソムリエ和多田さんがいれる和多田流のお茶は、香り、甘み、うまみ、渋みが絶妙なバランスで構成され、日本茶の持つ味の奥深さに驚かされる。

「和多田流でいれたお茶をはじめて飲んだ方は、『お茶ってこんな味がするんだ』とびっくりされる方も多いです。

私がお客様にお茶をいれている様子を見ていた知人に『和多田くんのお茶を口に含んだ瞬間に、顔が変わって別人になるんだね。表情がほっとほぐれて、優しい顔になってる』と指摘されました。

日本茶って、なんともいえない安心感、安堵感があると思いませんか? この効果はなんだろうと考えていたとき、“自然の香り”がするからだと気づきました。

雨上がりの森の中に立つと自然の香りがしてきますが、あれと同じように、茶葉の味と香りを抽出したお茶は、目の前に茶畑が広がったかのような“畑の香り”がするんですね。

すなわち日本茶には、アロマテラピーのような効果があるんじゃないでしょうか。特に都会に暮らしていると、日本茶を飲んで自然を感じる瞬間は特別なものなのかもしれません。

日本茶マニアのお客様は、好みの茶葉を自分でティーパックにして会社へ持っていくそうです。自分の癒される香りを知っていると、好きなときにリラックスできます」(和多田さん)

「お茶の良し悪しは畑で決まる、 いい畑は光っているんですよ」

和多田さんに茶葉の良し悪しを決めるのは何か聞くと、それは「畑」であると断言した。自身でもたびたび静岡の日本茶農家の畑を訪れるという。

「お茶は土から育てた葉の味わいを楽しむものですから、どんな畑で育つのかで味が大きく変わってしまうのです。農家の方が丹精込めて畑を作るからこそ、土壌が豊かな畑になり、香りよい茶葉が育ちます。

いい畑というのは見て分かります。畑が光っているんですよ。僕の持論では、いいものは見た目もきれい」(和多田さん)

そんな和多田さんに、日本茶の魅力を聞いてみた。

「うーん、難しい質問ですね。日本茶ソムリエをはじめたころは『自然なところです』と即答できたんですけどね。

茶農家の方々を見ていると、すごく手をかけて畑を作っているからそれは自然な状態だと言えないかもしれません。でもやっぱり、いいお茶は畑の香りがするんですよね。

私はお茶のことを考えれば考えるほと、『人間は土のエネルギーを食べていて、地球の表面に生きているんだな』と改めて気付かされるんです。こういう大きな視点を感じることができるのは魅力かもしれません。

日本茶ソムリエとして日本茶に関わってきて、細かい作法や手法にこだわっていた時期もありますが、今は何のためにお茶をいれるのかというと、喜びのためと言えるようになりました。これからも学び続けて、日本茶の楽しいものとして伝えていきたいです」(和多田さん)

身近だけど、知れば知るほど奥深い日本茶の世界。日本茶とは何か改めて考える時間は、日本人にとって贅沢な過ごし方ではないだろうか。

「気に入った茶葉を自分でティーパックにしてオフィスに持っていけば、仕事の合間のリラックスにちょうどいいですよ」

「気に入った茶葉を自分でティーパックにしてオフィスに持っていけば、仕事の合間のリラックスにちょうどいいですよ」

2009年に日本茶インストラクターの資格を取得。「ずーっとお茶のことばかり考えてきましたが、まだまだ飽きません」

2009年に日本茶インストラクターの資格を取得。「ずーっとお茶のことばかり考えてきましたが、まだまだ飽きません」

よいお茶を選ぶ秘訣はと聞くと「専門店に行くこと」と和多田さん。「どんなお茶が飲みたいか伝えて、お気に入りの茶葉を見つけるとさらに楽しくなります」

よいお茶を選ぶ秘訣はと聞くと「専門店に行くこと」と和多田さん。「どんなお茶が飲みたいか伝えて、お気に入りの茶葉を見つけるとさらに楽しくなります」

プロフィール

和多田 喜 わただ よし

2005年、日本茶インストラクター協会認定「日本茶インストラクター」の資格を取得。新しいスタイルの日本茶カフェ「表参道 茶茶の間」をオープンし、日本茶ソムリエとして運営にあたる。蓋のない茶器を使って茶葉を究極に味わう、和多田流「すすり茶」の淹れ方を考案。日本茶の奥深い魅力を伝えるため、執筆活動や、各種セミナーなどで講師としても活躍中。
http://www.chachanoma.com/

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