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コスチュームデザイナー 小林あっこ 前編

自身のアパレルブランドを運営しながら、舞台や映画の衣装やブライダルドレスを手掛ける小林あっこさん。文化服装学院在学中に世界三大テキスタイル見本市と言われるイタリアの「イデアコモAWARD」を受賞してから、国内外で活躍し続けているデザイナーだ。

私にとって洋服は、着ることも作ることも大好きなとても大事なもの。
けれど、世間的には大量生産されたものは
着古され捨てられるという末路しかないことを
ずっと悲しく感じていました。

だから、ブランドを立ち上げたとき、
もっと人々の記憶に留められる人を幸せにする
服づくりを目指したいと思ったんです。
ブランドと同時に舞台衣装や
ウェディングドレスも制作していますが、
これは共通した考え方ですね」

花嫁の願いを叶える特別な一着に

ブランドの名前は“au,B(オ・ベー)”。シンプルながら独特のフォルムが美しい女性向けの洋服たちは、日本の生地を使った立体裁断で作られており、彼女のこだわりが詰まっている。

「ブランド名は、“Bを信じるな”という意味の
フランスのことわざからとったもの。
フランス語では、頭文字にBが付く言葉は
“欠点”を表すものが多く、
そんな人は信用ならないという意味だそう。

けれど、欠点こそ個性。

私が作る洋服は、着たときに自分の個性を
もっと愛せるものにしたいと思って名付けました」

そんな思いを胸に流麗なウェディングドレスも手掛けている小林さん。花嫁とじっくり話し合い、愛を込めて特別な一着に仕上げていくのが彼女流だ。

「ブライダルを始めたきっかけは、
独立2年目に初めて雇ったアシスタントさんの結婚です。
彼女が“どうしてもあっこさんの作ったドレスが着たい”と言ってくれて。
ウェディングドレスは初めてでしたが、
試行錯誤しながら一緒に作ったドレスを
彼女がとても喜んでくれた時は、私も最高に幸せでした」

これをきっかけに口コミでウェディングドレス制作の依頼が増え、
今では1ヵ月に1~3回は花嫁さんを送り出しているという。

「一番大切にしていることは、花嫁さんと一緒に悩んであげること。
花嫁さんの“本当はこうしたい”を引き出して、
希望を全部叶えたドレスにしてあげたいといつも思っています。
何かと不安になりがちな花嫁さんの幸せ気分を
グッと盛り上げてあげるお手伝いができたら。
仕事なのにこんなに幸せを分けてもらえるなんて、
本当に贅沢ですよね」

周りまで明るくするような彼女の笑顔と服づくりのエピソードに、心もほっこり温まる。
秋深まるこの季節、あなたのクローゼットに眠る思い出の服と再会してみてはいかがだろうか。

「ブライダルドレスを縫うときは、このアンティークの足踏みミシンを使うことに決めています」。一針一針思いを紡いでいく

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今日来ている服もご自身のブランドのもの。シンプルなのにちょっと変わったラインが個性的

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花嫁からの感謝のお手紙がたくさん!挙式に出席すると「あっこさんの顔見ると泣いちゃう」と言われるそう

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プロフィール

小林あっこ(こばやしあっこ)

自身のブランド「au,B」をプロデュースしながら、数々のウェディングドレスやブライダルドレス、舞台衣装、オペラ衣装などを手掛けるデザイナー。文化服装学院アパレルデザイン科、工科専攻科卒。コペンハーゲン、ミラノなどでもエキシヴィジョンを開催するなど、多岐にわたり活躍中。バンタンデザイン研究所講師、東京デザイナー学院講師も務める。

BLOG:http://profile.ameba.jp/hapinavi-acco/http://profile.ameba.jp/hapinavi-acco/

photo_nobuyuki sasaki
text_miwako matsuzaki
edit_yu koyanagi