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ちょっと贅沢お作法

コケと藻。珍しいコケ。

似たような見た目で、じめじめしたところに育つという印象があるコケと藻。
ふたつの違いはどのようなものか、また、最近話題のコケについても学んでみましょう。

コケは、蘇苔類(せんたんるい)と呼ばれ、
例外もありますが主に陸上で暮らすもの。
藻というのは水中に生息する植物を幅広くまとめた造語です。

藻類(そうるい)と読む場合は、
蘚苔類、シダ植物、種子植物を除いたすべての植物のことをさします。
しかし、鑑賞用にコケを育てる場合は、
藻類に入る植物も「コケ」と呼ばれることもあります。

藻類ですが、コケと呼ばれている植物の代表的なものが、ウサギゴケ。
ウサギゴケは通称で、本当はウトリクラリア・サンダーソニーといい、
タヌキモ科のミミカキグサという植物の一種。
原産地は、南アフリカ共和国の高原地帯です。
5~8mmのウサギのような形状の花が愛らしく人気が高い植物ですが、
藻の仲間で、また、食中植物でもあります。
ウサギゴケは地下茎のあちこちに張り巡らせた捕虫嚢を使って、
虫を捕らえて栄養にします。
育て方が簡単なので近年では観葉植物としても人気。
同じ種類で花がクリオネにそっくりなものもあるそうです。

また、現在、絶滅を危ぶまれているのがヒカリゴケ。
ヒカリゴケ科ヒカリゴケ属のコケで、
洞窟などでエメラルド色に光ります。
この光はヒカリゴケ自体が発光しているわけではなく、
ヒカリゴケの中のレンズ状細胞が光を反射して起こすもの。
日本では北海道と本州の中部地方以北に分布し、
東京都内でも北の丸公園や、千代田区江戸城跡のヒカリゴケ生育地で育てられています。

ヒカリゴケは環境の変化に敏感。
そのため、近年は生育地の開発やそれに伴う汚染や乾燥化などの影響を受け、
個体数が減少しています。
コケの採取は規制されており、国や地方自治体で天然記念物に指定されています。

ひとくちにコケと言っても多種多様な生態があるもの。
小さな個体にさまざまな物語が宿るコケの深遠な世界に、
思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

text_akiko mitani
illust_yu koyanagi