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ちょっと贅沢お作法

太鼓という楽器の話 十鼓十色 祭りには欠かせない 太鼓のさまざまな音や形

日本の祭りで使われる太鼓は地域によって実にさまざまです。
鋲留太鼓、締太鼓、桶胴太鼓に団扇太鼓とあげればきりがありません。
太鼓の皮は何の皮で、木はどんな木を使っているのか、
楽器としての太鼓文化に迫ります。

■民俗芸能の楽器とは?

皆さんは楽器というと、何を思い浮かべるでしょうか。
ピアノ、バイオリン、リコーダー、ギター、ハーモニカなどでしょうか。

では、日本の楽器となるとどうでしょう。
尺八、箏(こと)、三味線、笛、太鼓もありますね。
とはいえ、「楽器」と言われて日本の楽器を思い浮かべる人は少ないのではないでしょうか。

現代人にとってはなじみが薄くなってしまった日本の楽器。さらに「民俗芸能の場面で使われる楽器には何があるか」と問われれば、ますます、想像がしにくくなるのではないでしょうか。

お祭りで見る笛太鼓のお囃子がイメージしやすい方も多いでしょう。
確かに笛太鼓の組み合わせが最もポピュラーですが、どの笛太鼓も外見が似ているので、「どこも一緒だなあ」と思われるかも知れません。

太鼓一つとっても、その地域の音色の好みが反映される分、まったくの別物になるのです。皮の張り具合、撥の形、たたき方、など多種多様です。それこそ、同じ太鼓を使っていても、地域によって使い方はまったく違います。
さらに、その地方でしか使わない、特別な楽器に出くわすこともあります。
「ところ変われば品変わる」ということわざがぴったりなのが、民俗芸能の世界なのです。

■日本の太鼓の特徴

 日本に古くからある楽器の中でも打楽器はとても種類が多く、その中でも「太鼓」というのは、一番といってよいほど改良や変化が激しく、多彩なものになっています。
日本の楽器を語るうえで「太鼓」というのは「重大」で、骨の折れる「やっかい」で、しかも「すごく面白い」存在なのです。

 日本の太鼓は、ほとんどが牛の皮を使います。中には特殊で、「紙」を貼る場合もあります。外国には、羊の皮、中にはトカゲの皮を使う例もあるようですね。楽器の材質に関しては、調達できる材料によって変化しますから、当然と言えば当然かもしれません。

 日本の太鼓の「胴」は、ほとんどが木製品で、ケヤキなど硬い材で作られることが多いです。しかし中には、新素材(FRPなどのプラスチック)を使う太鼓や、外国産の材木(ケヤキ以上に硬い材木)を使う例、真鍮(しんちゅう)製のものも出て来たりと、日々変化しています。一つの材木をそのまま使った「くり抜き胴」もあれば、寄木(よせぎ)の方法で作った胴、「桶(おけ)」の要領で丸く円筒形にした「桶胴」、まげわっぱの要領で薄い材木を丸めて作った胴など、様々な胴の作り方があります。

また、外国には、太鼓の皮の大きさが裏と表で違うものや、胴の片方に一枚しか皮を張らない太鼓「片面太鼓」も存在するそうですが、日本では数があまり多くありません。「うちわ太鼓」という、金魚すくいで使う「ポイ」をそのまま大きくしたような形の太鼓がありますね。これは日蓮宗の人が使うことで有名です。これ以外には、沖縄の「パーランクー」という小さな太鼓や、北海道の少数民族が使う「枠太鼓」ダーリ、ユル、カチョーなどと呼ばれるものがあります。

 また、全体的に素手では太鼓を叩かないということも、日本の太鼓の特徴の一つといえるでしょう。確かに能楽の「鼓」のように、手でたたく例はあります。しかし、日本の太鼓全体からみるとそういう例は少ないのです。

そんな日本の太鼓の特徴を記憶にとどめておくと、
民俗芸能を見るのもより楽しくなると思います。

Photo Kazuhiro Nishijima
Text Yu Niimi
Edit MATSURIsta