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ちょっと贅沢お作法

踊る祭り入門 民俗芸能の楽しみ方、伝授します(3) 伝授、祭りへの行き方

興味がある祭り、あるいは自分の住んでいる地域の近くで祭りを見つけたら、何はともあれ足を運んでみましょう。

ですが、祭りに出かけるにあたっての注意点もあります。

地元の神社に奉納される2時間ぐらいの神楽を観にふらっと行くなら自転車でサンダルばきでも構いませんが、初めての場所に祭りを観に行くとなると、いろいろと準備が必要です。

今回は、愛知県は奥三河に伝わる「花祭り」の夜通し舞われる神楽を私が観に行った際の話を例に、祭りへの"行き方"について伝授していきます。

まずは行きたい祭りの日程を確認しましょう。
祭りは毎年やるとはいえ、その開催日時はよく変更になります。
日付固定だったものが、近くの土日に変更になっていたり、旧暦で行われている祭りだったり、今年はいつ開催するのかを直前になって決める祭りもあったりします。ですので、インターネットなどで必ず今年は何日にどこで開催だという情報を確認しておく必要があります。

もし、今年の情報が掲載されていなかったら、市町村の観光課や文化財課、教育委員会などに電話で問い合わせておくと安心です。

ちなみに奥三河の花祭りの場合は、東栄町のホームページが充実していて町内の各地区で開催される花祭りの日程や開催場所も確認できるので、初めて観る前にもいろいろと情報を確認できました。

さて、続いては交通手段です。
地域によっては自動車での移動が常識化していて、公共交通機関ではアクセスが非常に悪いところも多いです。
祭りの開催場所がわかったら、電車やバスの行きや帰りの時刻表や乗り換えを確認しておくといいでしょう。奥三河の花祭りに行った時は、一緒に観に行く人が自動車だったので同乗させてもらいましたが、公共交通機関で行こうとすると、東京からJRで豊橋まで出て、飯田線という沿線に秘境駅が多いことで知られるローカル線に乗り換えて東栄駅まで行きます。そして、そこからバスに乗るわけですが、地区によってはバスを乗り継ぐ必要があり、またその本数は限られているので計画なしで行くのは危険です。
タクシーを呼ぶにも事前の問い合わせや予約などをしておくと安心です。

祭りの会場についたら、まずはその神社に参拝し、そこの神様にご挨拶しておきましょう。
お祭りは、その名の通り、神様をまつる、神様に奉納するために行われているものですので、そこの神様と地域の人たちこそが主役です。
外から祭りを訪ねる際には、お祭りにちょっとお邪魔させてもらっています、という気持ちが大事です。写真を撮るのに夢中になるあまり、儀式や地域の人びとの邪魔をしてしまっては、それこそ罰当たりです。

奥三河の花祭りの場合は夜通し湯を立てた釜の周りで神楽を舞っているわけですが、舞手に交じって観客たちも一緒になって囃し立てますし、舞います。しかし、囃すなり騒ぐなりにもその土地の作法があり、観客も熟練の猛者ぞろいです。その作法に沿いながら、地元流の楽しみ方を見つけていきましょう。

祭りは基本的には無料でも楽しむことができますが、少し余裕があればお祝いをあげましょう。
のし袋に地域によって違いますが「御祝」「御花」「初穂料」と書いたら、その下に自分の名前を、裏に入れた金額と可能なら住所などを書いて受付の人に渡します。

金額の相場は地域によって違いますが、三千円出しておけばまず間違いはありません。千円、三千円、五千円など出すお札は奇数でピン札のほうがいいなどもありますが、本当に気持ちで大丈夫ですし、地元の方に相談してみるのも手です。

花祭りでは、受付で「御花」をあげると、地域によって違いますが、花祭りのパンフレット、お稲荷さんや太巻き、神楽が描かれた湯のみなどいろいろともらえてしまいます。そして、「一金 三千円也 三鷹市 西嶋一泰 様」と書かれた半紙が祭り会場に張り出されます。そこには地元の方々の名前や地元商店の名前もあり、この半紙も祭りの地域によって張り出し方や書き方がちがって祭り空間を演出する小道具です。中には景気よく、もらった金額の十倍を半紙に書く地域もあり、何も知らない人がみると、みんなこんなに出しているのかとびっくりします。

あとはもう祭りの場を楽しむだけ。
ゆっくり座ってみていたら、となりのおばちゃんがミカンをくれて世間話が始まったり、前の方でお囃子にあわせて足踏みをしていたら地元のおっちゃんに 「おー、にいちゃんこっちこい」とお酒をつがれたりと出会いにもあふれています。

場所や時期にもよりますが、基本的には動きやすい格好で。
夏なら虫さされ、冬なら防寒の対策をしてのぞむといいでしょう。

あとは近くに商店などがない場合も多いので水と食べ物は持っていきましょう。

奥三河の花祭りの場合は冬の寒い時期に山奥でほとんど屋外のような場所で火を焚きながらやっているので、「寒い、眠い、煙い」観る側にとっても過酷な祭りです。

しかし、本当に山奥の隠れ里のような村で毎年、会場の飾り付けや食事を準備しながら、神楽を夜通し舞い続ける祭りが、現在でもそこで行われています。

アクセスが悪い祭りは、ロケーションは抜群と決まっています。

text_ Kazuhiro Nishijima