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ちょっと贅沢お作法

尊い人々を守る傘の歴史

傘の起源は一体いつ頃なのか、ヨーロッパやインド、ギリシャでは傘はどのように使われてきたのか。知っておくといつもよりずっと雨の日が楽しくなりそうな、世界の傘の歴史やルーツを学びましょう。

■傘の起源は4000年前から
傘の発祥は約4000年前と言われ、最初は日傘として使用されたのが始まりでした。もともとは貴族や高僧などの上流階級の人々が使うものだったようです。エジプトやペルシャなどには傘を使用する人が描かれている壁画があり、尊い人々を日差しから守ると同時に権威を象徴するものだったと言われています。

■高貴な人々が使う傘
ギリシャでは祭礼のときに威光を表すものとして神像の上に傘をかざしていました。紀元前7世紀のアッシリアの壁画には、王の頭上に天蓋のように傘が掲げられている図が描かれています。インドでは傘は吉祥をもたらす八つのもののひとつとして数えられてきました。古代ギリシャ時代では、アテナイの貴婦人たちが日傘を従者に持たせて歩いている絵があります。なお、その頃の傘は開いたままですぼめることはできなかったようです。

■遺言書に傘の相続人を書いたフランス
フランスへ傘が伝来したのは、1533年にフィレンツェのメディチ家のカトリーヌがアンリ王子に嫁いだときだと言われています。フランスにおいても、長らく傘は贅沢品であったようです。人が亡くなる時に傘を誰が相続するのかを遺言書に書くことも珍しくなかったとか。
フランスでは、傘はおもに女性用の日傘やアクセサリーとして発達。上流階級の女性が、装飾を凝らしたさまざまな傘をさすようになりました。傘が男性も使う雨傘として普及しだしたのは18世紀に入ってからだそうです。

■日本の傘のルーツ
雨の多い日本では、古くから傘が使用されてきました。種類としては、和紙と木でできた和傘。絵画資料として残っているのは源氏物語絵巻に残されている和傘が最初だそうです。室町時代に入ると和傘の紙に油を塗ることで雨傘として使用されるようになりました。しかし、庶民にはまだ手が届くものではなく、いわゆる頭にかぶる菅笠と箕が雨具として使われていました。

■広告代わりに、歌舞伎の小道具に
元禄に入ったあたりからは、蛇の目傘が普及し始め、この頃から僧侶や医者などに使われるように。また、広げた傘の面積を利用して、お店の屋号をデザインした傘を作り、雨天時にお客に貸出して店を宣伝してもらうといったことも行われました。そのほか、歌舞伎の小道具としても使われるようになり、傘は急速にメジャー化していきました。

もとは高貴な人々しかさすことができなかった傘。雨の日は傘をさしながら、昔の人々の暮らしに思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

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