平日のちょっと贅沢なライフスタイルマガジン Daily Premium Calendar

テーマ「音」

歌人の鈴掛真です。『贅沢短歌』では、皆さんの毎日のちょっとしたエッセンスとなるように詠ったオリジナル作品を、創作のコツと共に毎週ご紹介していきます。

10月のテーマは「音」。本来、目で追うだけの文字としての短歌から、聞こえないはずの音が聞こえてくるとしたなら。作者が一首に込めた思い出のワンシーンでは、一体どんな音が鳴っていたのか。目と耳を通して、読み手の五感に迫るような歌を集めました。
第4週目には皆さんからの公募短歌をご紹介、第5週目には好評のWEBラジオも配信!それでは鈴掛真が、奥深い短歌の世界へ誘います。

  • 唇が湿ってばかりいる夜にへたな口笛ふたつ鳴らそう
  • ああ君はそうして声を出すんだね そうして顔を歪めるんだね
  • 恥じらいもなくガーベラはひっそりとベッドの音を聞いていたんだ

言うまでもなく、ある夜のベッドシーンを詠った三首ですが、二首目に至っては、ただ「声を聞いた」「歪める顔を見た」ということしか詠っていません。どんな声であったのか、どんな顔の歪め方であったのかは詠っていないのです。つまり、それを聞いていない、見ていないはずの読み手が、自らの記憶や体験とリンクさせて、聞こえないはずの声を聞いたり、見えないはずの顔が見えたりする効果を目指しました。メッセージは直接的であれば伝わるというわけではありません。あえて詠わないことで五感を刺激することも可能なのです。

プロフィール

鈴掛真(すずかけ しん)

鈴掛真(すずかけ しん)

歌人。
Twitterとブログ「さえずり短歌」で作品を随時発表。短歌インスタレーション、朗読LIVEなど、これまでに無い新たな短歌の表現を追求している。セオリーは「短歌のスタンダード化」「ポップスとしての短歌」。著書に『好きと言えたらよかったのに。』(大和出版)がある。また、日本における同性愛への偏見の解消にも取り組んでいる。

http://ameblo.jp/suzukakeshin/