平日のちょっと贅沢なライフスタイルマガジン Daily Premium Calendar

テーマ「香」

歌人の鈴掛真です。『贅沢短歌』では、皆さんの毎日のちょっとしたエッセンスとなるように詠ったオリジナル作品を、創作のコツと共に毎週ご紹介していきます。

11月のテーマは「香」。先月は聴覚に訴える歌をラインナップしましたが、今月は嗅覚。五感の中で最も強く脳に記憶されるといわれている感覚ですが、言葉として人に伝達するのはとても難しいものです。本来は文字から香るはずのない匂いが漂い、鼻孔を刺激するような歌を集めました。
今回はWEBラジオを配信します。合わせてお楽しみください。それでは鈴掛真が、奥深い短歌の世界へ誘います。

  • 写真には決してうつることのない香りで語る仲でありたい
  • 吐息さえ同じ匂いになるように灯す忘れていったマルボロ
  • 本当のことを言おうとするくちを渇かすためのチャコールフィルター
  • 遺伝子が遠い人ほど匂わない…あなたと私は結ばれるべき
  • 風邪をひかないでね、さっき開けたとき少し甘い香りがしたから。

贅沢短歌Webラジオ

 練さんの作品では、物語を汲み取るためのキーワードがあえて省かれています。恐らく、「さっき開けた」のは窓であり、「甘い香り」は金木犀で、秋の訪れを詠っているのだと思うのですが、実は全く違うエピソードであるのかもしれません。正解は作者のみぞ知る、まるでなぞなぞのような、とってもユニークな歌ですね。
 待夢☆(たいむ)さんの一首は、非常に興味深いフレーズで詠い始められています。調べたところ、人間は配列の異なるタイプの遠い遺伝子をもつ異性の体臭を心地良く思うのだとか!う~ん、なるほど。こうして学問を盛り込んで読者に調べさせることこそ、作者の思惑。まんまとハマってしまったのが少し悔しい気もしますが(笑)、歌と共に学問も読者に覚え込ませる、非常に高度なスキルが盛り込まれた作品だと思います。

プロフィール

鈴掛真(すずかけ しん)

鈴掛真(すずかけ しん)

歌人。
Twitterとブログ「さえずり短歌」で作品を随時発表。短歌インスタレーション、朗読LIVEなど、これまでに無い新たな短歌の表現を追求している。 セオリーは「短歌のスタンダード化」「ポップスとしての短歌」。著書に『好きと言えたらよかったのに。』(大和出版)がある。

http://suzukakeshin.com/