平日のちょっと贅沢なライフスタイルマガジン Daily Premium Calendar

テーマ「朝」

歌人の鈴掛真です。『贅沢短歌』では、皆さんの毎日のちょっとしたエッセンスとなるように詠ったオリジナル作品を、創作のコツと共に毎週ご紹介していきます。

1月のテーマは「朝」。新しい1年、新しい1日の始まり。東の低い空が藍色から薄紅に染まり、長く静かな夜が明ける。まだ朧げな意識の中、緩やかに訪れる幸福な朝の幕開けを、12首の短歌で表現しました。
今月最終回は好評のWEBラジオも配信!それでは鈴掛真が、奥深い短歌の世界へ誘います。

  • 背中からきつく抱かれた感覚で生き長らえてしまう平日
  • 財宝を探す旅より1Kで君とこうしているほうがいい
  • 目が覚めていちばん始めにくちにする水分として合わす唇
  • うつらうつら肌の記憶を引き寄せる目覚めることはわすれることだ
藤崎しづくさん 26歳
  • おはようを言ってないから今日はまだ始まってない「おはよう、おやすみ」
練さん 19歳 茨城県在住

贅沢短歌Webラジオ

 今回の公募短歌は、文学の枠を超えた独自の哲学を盛り込んだ歌をご紹介します。
 練さんは、「おはようを言わない限り今日は始まらない」というユニークな価値観で表現しています。ただし結末で「おはよう」と「おやすみ」を同時に言っているところを見ると、一日の終わりに一瞬だけ会えた相手のことを詠っているようです。ユーモアとちょっぴりの寂しさが混在する一首ですね。
 僕は今月の12首で、恋人と抱き合いながら共に過ごす朝を描きましたが、藤崎しづくさんは一人で目覚めた朝に、肌を重ねた昨夜のことを思い出している歌で応募してくれました。「目覚めることはわすれることだ」という哲学が断定で提言されているので、読者の脳裏に鮮烈な印象を残します。人は眠ること無く生きていくことができたとしたなら、もっとたくさんの記憶を留めておくことができるのでは……そんな可能性を考えさせられる作品です。

プロフィール

鈴掛真(すずかけ しん)

鈴掛真(すずかけ しん)

歌人。
Twitterとブログ「さえずり短歌」で作品を随時発表。短歌インスタレーション、朗読LIVEなど、これまでに無い新たな短歌の表現を追求している。 セオリーは「短歌のスタンダード化」「ポップスとしての短歌」。著書に『好きと言えたらよかったのに。』(大和出版刊)がある。

http://suzukakeshin.com/