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テーマ「雪」

歌人の鈴掛真です。『贅沢短歌』では、皆さんの毎日のちょっとしたエッセンスとなるように詠ったオリジナル作品を、創作のコツと共に毎週ご紹介していきます。

2月のテーマは「雪」。白く美しい、冷たい冬の空からの贈りもの。触れたら一瞬で融けてしまう儚さと、時として人を殺めるほどの危うさを持ち合わせた神秘的な存在。太古の昔から人々を魅了してきた冬の風物詩を、12首の短歌に盛り込みました。
今週は皆さんからの公募短歌をご紹介、第4週目には好評のWEBラジオも配信!それでは鈴掛真が、奥深い短歌の世界へ誘います。

  • 美しくいられるように北国の深い泉に沈める記憶
  • 誰かではなくて確かに君だったはずの轍を探して辿る
  • 降ったのは悲しい恋を終わらせてくれるみたいな粉雪でした
  • ぽとぽと、と足あと落とす もしすぐに追いかけたなら掴まるように
  • 悲しみは雪の如くに降り積もる明けぬ喪中ぞ元旦にあり

 今週の公募短歌は、詠い回しも込められた感情も対照的な2首をご紹介します。
 北斗はるかさんは教員の方ということで、国語を教えてらっしゃるのでしょうか、古語と現代語でバランス良く巧みに配分された秀作を送ってくださいました。古語の係助詞「ぞ」「なむ」「こそ」は強意を表します。親族が亡くなったことで正月を迎えても晴れない悲しみが、厚く降り積もった北海道の景色とシンクロし、読者の脳裏にひしひしと伝わってくるようです。
 練さんの歌はそれと対照的に、軽やかな口語体で初々しさの漂う作品ですね。「雪」という単語をあえて用いず、足音を「ぽとぽと」と表現したことで、晴れや雨の日でなく、特別な雪の日だったことを伝えています。「と」が2つ並んでしまうのを避けるために「、」を使っていて、見た目にもしっかり気を配っていると思います。追いかけたいけど、追いかけない。楽しくてもどがしい恋のワンシーンが目に浮かぶようですね。

プロフィール

鈴掛真(すずかけ しん)

鈴掛真(すずかけ しん)

歌人。
Twitterとブログ「さえずり短歌」で作品を随時発表。短歌インスタレーション、朗読LIVEなど、これまでに無い新たな短歌の表現を追求している。 セオリーは「短歌のスタンダード化」「ポップスとしての短歌」。著書に『好きと言えたらよかったのに。』(大和出版刊)がある。

http://suzukakeshin.com/