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テーマ「雨」

歌人の鈴掛真です。『贅沢短歌』では、皆さんの毎日のちょっとしたエッセンスとなるように詠ったオリジナル作品を、創作のコツと共に毎週ご紹介していきます。

6月のテーマは「雨」。天から降りそそぐその滴は、ときに優しく大地を潤し、ときに激しく街を濡らします。喜びや悲しみ、まるで人々のあらゆる心模様とリンクするように、雨の景色は水彩絵の具のように思い出を彩り、我々の記憶に刻まれます。そんな雨の季節にぴったりな12首を集めました。
今週からは皆さんからの公募短歌をご紹介、第4週目には好評のWEBラジオも配信! それでは鈴掛真が、奥深い短歌の世界へ誘います。

  • 囁いてみたけど夏の雨音に消えた「好きだよ。」「なに?」「ひとりごと。」
  • 夕立が聞こえなくしてくれるから誰が好きってせーので言おう
  • このままじゃぜんぶ言ってしまいそうで聞こえないよう降りつづけ、雨
  • 青空にブーケが舞った瞬間にキツネの嫁入り僕が降らせた
日萌嘉さん 東京都在住
  • 服は濡れ髪はまとまらないけれど傘ひとつ分のこの距離は好き
しほさん 22歳 愛知県在住

 今週は恒例の公募短歌をご紹介!読者の皆さんが描き出す「雨」の短歌とは?
 しほさんは、雨の日に起こる嫌なことと好きなことをシンプルな構成で対比させています。それぞれに傘を広げた2人が、雨の中で肩を並べて歩いているワンシーンが想像できますね。「傘ひとつ分のこの距離」とは、単純に1本の傘の直径ではなく、自分と相手の傘それぞれの半径、それを合計して「ひとつ」としていることがわかります。今後2人の関係が更に発展する未来が目に浮かぶようです。
 日萌嘉(かもか)さんは、この6月にぴったりのジューンブライドをモチーフに詠ってくれました。キツネの嫁入りがあると天気雨が降る、という言い伝えはあまりにも有名ですね。それを降らせた「僕」が誰であるのか、というのがポイントですが、花嫁を祝福しつつも、片思いを告白できなかった男性なのではないでしょうか。おとぎ話の1ページのようなメルヘンで美しい作品ですね。

プロフィール

鈴掛真(すずかけ しん)

鈴掛真(すずかけ しん)

歌人。
Twitterとブログ「さえずり短歌」で作品を随時発表。短歌インスタレーション、朗読LIVEなど、これまでに無い新たな短歌の表現を追求している。 セオリーは「短歌のスタンダード化」「ポップスとしての短歌」。著書に『好きと言えたらよかったのに。』(大和出版刊)がある。

http://suzukakeshin.com/