平日のちょっと贅沢なライフスタイルマガジン Daily Premium Calendar

テーマ「雨」

歌人の鈴掛真です。『贅沢短歌』では、皆さんの毎日のちょっとしたエッセンスとなるように詠ったオリジナル作品を、創作のコツと共に毎週ご紹介していきます。

6月のテーマは「雨」。天から降りそそぐその滴は、ときに優しく大地を潤し、ときに激しく街を濡らします。喜びや悲しみ、まるで人々のあらゆる心模様とリンクするように、雨の景色は水彩絵の具のように思い出を彩り、我々の記憶に刻まれます。そんな雨の季節にぴったりな12首を集めました。
今週は好評のWEBラジオも配信! それでは鈴掛真が、奥深い短歌の世界へ誘います。

  • 始まりも終わりもしない夜でした 雨が静かに降っていました
  • 続編は作らないって契約を破棄してみたいような6月
  • 晴れたのに持って来ちゃった雨傘でいいからそばに居させて欲しい
  • 初心では生きられないの降る雪が雨になるのは止められないし
葛紗さん 27歳 広島県在住
  • 暗くても心が踊る見上げればあの人からの大切な傘
つーさん 22歳 学生 愛知県在住

贅沢短歌Webラジオ

 今週は恒例の公募短歌をご紹介!読者の皆さんが描き出す「雨」の短歌とは?
 つーさんの作品は、まだ短歌を始めて間も無い初々しさがありつつも、自らの想いを5・7・5・7・7で表現したいという意欲がひしひしと感じられます。言葉の並びから、「大切」であるのは「傘」であることが明快ですが、同時に「あの人」もつーさんにとって大切な存在であることが読み取れます。まさに雨の日だからこそ出逢える小さな幸せのひとときですね。
 先月に引き続き葛紗(かずさ)さんは、思わずハッとするような一首を送ってくれました。「初心」とはどんな想いなのか、どんなエピソードであったのか、具体的には詠われていませんが、季節が移ろう儚さ、一度進んでしまえば戻らない瞬間の物悲しさが、「生きられない」という重厚な言葉で言い切られています。女性ならではの聡明で繊細な感覚で描かれた秀作です。

プロフィール

鈴掛真(すずかけ しん)

鈴掛真(すずかけ しん)

歌人。
Twitterとブログ「さえずり短歌」で作品を随時発表。短歌インスタレーション、朗読LIVEなど、これまでに無い新たな短歌の表現を追求している。 セオリーは「短歌のスタンダード化」「ポップスとしての短歌」。著書に『好きと言えたらよかったのに。』(大和出版刊)がある。

http://suzukakeshin.com/