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テーマ「苔」

 歌人の鈴掛真です。『贅沢短歌』では、皆さんの毎日のちょっとしたエッセンスとなるように詠ったオリジナル作品を、創作のコツと共に毎週ご紹介していきます。

 9月のテーマは「苔」。太古の昔からこの星に存在し、生命の起源としての姿を今に残すコケ。草花とは異なる独自の生態系を築いた神秘的な風情は、庭園や盆栽など、我々日本人の文化と密接な関わりを持ち、国歌『君が代』にも登場しています。今月は『君が代』の現代語訳を含む12首をお届けしていきます。
 第3週目には皆さんからの公募短歌をご紹介、第4週目には好評のWEBラジオも配信!それでは鈴掛真が、奥深い短歌の世界へ誘います。

  • 石ころが苔むす岩になるくらいあなたが永久に続けと願う
  • 君の命よ千年続け石ころが岩となり苔に包まれるほど
  • 君の代は千代に八千代にさざれ石が巌となって苔むすまでに

 皆さん、我が国の国歌『君が代』が短歌であることはご存知ですか?
『君が代は 千代に八千代に さざれ石の いわおとなりて こけのむすまで』
 平安時代に編集された古今和歌集に、詠み人知らずとして収録されています。末尾で詠われている「こけ」とは、まさに今月のテーマである「苔」のこと。今週はこの『君が代』を、鈴掛による現代語訳と共に紐解いていきましょう。

 まずは詠われている名詞をそのままに、現代語の文法に置き換えたのが1首目です。「代」とは、人生のこと。「千代に八千代に」は「千年も8千年も」という意味ですが、極めて長い年月であることを韻を踏んで表現しています。「さざれ石」は小石、「巌(いわお)」は大きな石のこと。「苔むす(苔生す)」とは文字通りコケが生えるということですが、年月を経て古くなるという意味も持っています。
 これを踏まえて、名詞を現代の言葉に変えてアレンジしたものが2首目。さらに、歌の内容を受け継ぎつつ、鈴掛が現代風に詠い直したものが3首目です。

 いかがですか? あくまで鈴掛の独断と偏見による解釈のため、これが正解というわけではありませんが、今度国歌を耳にしたとき、ふと思い出して頂ければ幸いです。

プロフィール

鈴掛真(すずかけ しん)

鈴掛真(すずかけ しん)

歌人。
Twitterとブログ「さえずり短歌」で作品を随時発表。短歌インスタレーション、朗読LIVEなど、これまでに無い新たな短歌の表現を追求している。 セオリーは「短歌のスタンダード化」「ポップスとしての短歌」。著書に『好きと言えたらよかったのに。』(大和出版刊)がある。

http://suzukakeshin.com/