平日のちょっと贅沢なライフスタイルマガジン Daily Premium Calendar

テーマ「苔」

 歌人の鈴掛真です。『贅沢短歌』では、皆さんの毎日のちょっとしたエッセンスとなるように詠ったオリジナル作品を、創作のコツと共に毎週ご紹介していきます。

 9月のテーマは「苔」。太古の昔からこの星に存在し、生命の起源としての姿を今に残すコケ。草花とは異なる独自の生態系を築いた神秘的な風情は、庭園や盆栽など、我々日本人の文化と密接な関わりを持ち、国歌『君が代』にも登場しています。今月は『君が代』の現代語訳を含む12首をお届けしていきます。
 今週は皆さんからの公募短歌をご紹介、好評のWEBラジオも配信!それでは鈴掛真が、奥深い短歌の世界へ誘います。

  • 美しい花を咲かせることだけが人生じゃないような気がした
  • 惑星の忘れ去られた風景を千年杉の苔に尋ねる
  • 閉ざされた闇の中でも光差す場所を教えてくれる砂苔
  • 苔桃のジャムをたっぷりパンにぬりはるかな君のエアメイル読む
桃子さん
  • 内側に潤い抱き待つ日々は君に預かる苔玉に似て
日萌嘉さん 東京都在住

贅沢短歌Webラジオ

 今週は恒例の公募短歌をご紹介!読者の皆さんが描き出す「苔」の短歌とは?
 日萌嘉(かもか)さんは、内に秘めたる恋心を「潤い」として表現しています。「待つ」と「預かる」の位置付けについて少し疑問が残りますが、それが読者にストーリーを想像させるエッセンスとなっています。苔玉の可愛らしさも相まって、女性らしい印象の歌に仕上がっていますね。
 桃子さんは、苔という言葉を含んだ木の実であるコケモモをモチーフにしています。桃と書きますが決してモモの仲間ではなく、緑色の小さな葉を付けて地面の低い位置に群生する姿が苔に似ていることから名付けられたんだとか。エアメールを「エアメイル」としたところが粋ですね。甘酸っぱいベリーの香りが漂って来るような爽やかな作品です。

 そして、突然ですが……『贅沢短歌』は、今回をもって休載することとなりました。1年3ヵ月の間ご愛読頂き、たくさんの素晴らしい作品をお送り頂き、本当にありがとうございました。僕はこれからも変わらず短歌を詠い続けます。いつか再び皆さんに歌を届けられる日を心待ちにして。また会いましょう。

鈴掛真

プロフィール

鈴掛真(すずかけ しん)

鈴掛真(すずかけ しん)

歌人。
Twitterとブログ「さえずり短歌」で作品を随時発表。短歌インスタレーション、朗読LIVEなど、これまでに無い新たな短歌の表現を追求している。 セオリーは「短歌のスタンダード化」「ポップスとしての短歌」。著書に『好きと言えたらよかったのに。』(大和出版刊)がある。

http://suzukakeshin.com/